
JIPMソリューションが開催した『仕事の見える化による"事務工場"効率化セミナー』に、南米で通訳として活躍されている松原修さんが受講されました。
南米でのTPMは、1990年代半ばから本格的な普及期に入り、1996年にはPirelli Cables社(ブラジル)が南米初のTPM優秀賞を獲得。これまでに、のべ80を超える事業所が受賞しています。TPM導入事業所も増え続けており、JIPMソリューションからも複数のコンサルタントが定期的に訪問しています。
この機会に松原さんにインタビューをお願いし、現地で活躍される方ならではの話を伺うことができました。
(インタビュー: 2010年2月10日、JIPMソリューション・本社にて、広報担当 F.K)
■ 自己紹介
1966年・アルゼンチン生まれの日系二世です。16年前からチリのサンチアゴに住んでいます。スペイン語と日本語の通訳歴は15年になりますが、医療・鉱山・工業・魚業・環境など様々な分野を経験してきました。TPMの通訳は1997年から取り組み始め、現在に至っています。
また、1992年に(株)アンデス商事チリを設立し、主に日本へ農産物や食品原料輸出に携わっています。他には、チリの首都サンチアゴから1,800km北部のアンデス山脈で、天文台の工事やメンテナンスサービスにも取り組んでいます。 昨年の5月には、世界でもっとも標高の高い場所にある天文台(5,640m)の建設に成功しました。これは日本の大学が発注したものです。
■ TPMとの出会い
TPMの通訳者になったのは1997年ですが、南米のTPM開拓者の一人である山田泰祐コンサルタント(JIPM-S)とのチリでの出会いがきっかけです。最初は不慣れなTPM用語に大変苦労しましたが、親身になって指導いただいた結果、本日まで通訳としてやってこれました。本当に心から感謝しています。
山田コンサルタントで印象に残ることは、指摘内容を短い言葉でずばりと表現されることです。ことわざもよく使われます。通訳に迷うこともありますが、同じ意味のスペイン語のことわざがあり、面白く感じる時もあります。現場でよく使われていた言葉には、こんなものがありました。
・子は親の背中を見て育つ (ラインリーダへの部下育成アドバイスの際など)
・百聞は一見にしかず (改善や、故障・不良の対策をする時など)
■ 「TPMで人が変わる」を実感
「TPMで人が変わる」ということは、私も実感しています。チリの洗剤工場での出来事が特に印象に残っています。南米では工場内の清掃は外注が一般的なため、「初期清掃から始めよう」と言ってもなかなか通用しません。その工場では、製造課長が自分達の仕事が増えることからTPMに反対し、最初はできない理由ばかり話していました。
担当のコンサルタントは、「できない理屈を考える時間があれば、解決方法を考えなさい」と言い、強力にTPMを推進しました。現場ではいやいや始まったTPMですが、1年経過した頃から故障や不良が減り始め、製造課長の態度も自ら率先して部下を指導するように変化しました。人が変わらないと、本当の意味で現場は変わりません。TPMが自分達のためになると分かってからは、活動に拍車がかかり汚かった現場もがらりと変わりました。
■ 現在のTPMの状況
現在はチリ、アルゼンチン、エクアドール、コロンビアの日用品・食品工場でコンサルティングの通訳を担当しています。
あるグローバル企業では、南米各国に展開する関連工場でVirtual Site(バーチャルサイト)というプロジェクトに取り組んでいます。インターネットを活用して同じようなロス、不良、故障、MP情報などを工場間で共有し、問題の早期解決に役立てています。
アルゼンチンでは、ワールドクラス賞(TPM優秀賞の最上位賞)をめざして活動を進める工場もでてきました。
TPM優秀賞の通訳も担当していますが、審査員が日本人の先生ということもあり、直前には通訳も入った入念なリハーサル行なっています。
■ スペイン語豆知識
現場の分析手法として「なぜなぜ分析」は南米でもよく活用されています。スペイン語では、一般に 『Analisis Porque Porque』 (アナリシス ポルケ ポルケ)と呼んでいます。他には、エフ付けは 『Actividad Tarjeteo』、自主保全は 『Manutención Autonoma』 と訳しています。
なお、TPM活動でよく使う チョコ停、ポカよけ、5S、巻き紙(分析)、カラクリ(改善) などは、南米でもそのまま日本語で使われています。
■ 通訳として思うこと
TPMのプロセスを自分でよく理解していなければ相手にうまく伝わらず、誤解が生じます。通訳として質の高い仕事を続けるには、日本での最近の情報も把握しておく必要があり、今回のセミナーに参加しました。最近はインターネットの発達もあり、南米のTPM推進者はよく勉強しています。各工場からもレベルの高い通訳が求められています。
これからも、南米でのTPMはますます発展していくことは間違いないと思います。TPMほど心を込め感情を表す通訳部門は他にはありません。1,2年では覚えることが出来ない特殊な部門の通訳です。そのため、次世代の若いTPM通訳者を育てていく必要があると考えています。
【 JIPMソリューションの海外事業について 】
JIPMソリューションでは、世界の約50カ国・地域にコンサルタントを派遣し、コンサルティング、TPM診断(進捗チェック)、集合教育など、国内と同様のサービスを展開しています。 ⇒ <関連情報> <英語サイト>